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青空文庫占い:結果

古来、人々は悩みがあると、四つ辻に立ち、聞こえてくる言葉で物事を占いました。これを『辻占』と言います。

青空文庫占い

作品名:

文学を愛づる心

作者:

折口 信夫

書き出し:



文學を愛でゝめで痴れて、やがて一生を終へようとして居る一人の、追憶談に過ぎぬかも知れない。
        *
文學をめでゝ愛で痴れて、而も其愛好者の一生が、何の變化も受けなかつたものとすれば、その文學がよほど、質の違つたものだつたと考へてよい。さうでなければ、その人が變質的に隨分強靱な心を持つてゐたと言ふことになる。所謂文學の惡影響と言ふこともあるにはある。此は考へて見ねばならぬことだ。文學を愛して居ながら、ちつともわるい感化を蒙らなかつたと言ふ人は相當あつて、紳士として申し分のない生活をして居る。かう言ふ人の行き方は、堅實な態度と言はれて來て居る。
        *
だが、よく考へて見ると、古くから讀まれて來た書物で、ちつとも不健康な分子、有害な部分のないと言ふやうな文學は、まあ、ないやうである。經典を見たつて、欲望を唆る樣な箇處はあつて、それ/″\昔から知られてゐる。倫理書をのぞいても、其當時々々の社會の秩序を破る思惟を誘ふ部分と謂つた處は、皆それ/″\あるのである。其が文學としての傾向の著しいものになると、文學としての性質上、更に激しくなつて來るまでゞある。
        *
我々は祖先の世から、美しい次代を創りあげようとして、苦しんで來た。其爲に、幾人とも知れぬ犧牲者を出して來てゐる。さう言ふ苛烈な經驗をした人々よりも、も一つ先にのり出して、自分の書き列ねてゐる語…

図書カードURL:

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