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芝居について大変よく知っている作家があり、そういう人々は舞台をよくみているし、俳優の一人一人についてもゆきとどいて理解している。わたしは、それとは反対の作家の一人であると云えよう。芝居のことについて知っていない。余り舞台もみていないから、したがって一人一人の俳優について、こまかくその芸術の変遷を辿るということも出来ない。
しかし、この間、何年ぶりかで「プラーグの栗並木の下で」を観て、俳優生活というものについて、これまでになく心を動かされるものがあった。
名優が、老年になってから自分の思い出を本にかくことがよくある。スタニスラフスキーの思い出は厚い本になって日本でも出版されていた。チェホフの手紙をよむと、妻君であるオリガ・クニッペルに向って、実に親切に、おだやかに、俳優の芸術家としての見識について、芸術境地の高めかたについて忠告を与えている。どれをよんでも、名優というものが、すべての芸術を貫く忍耐づよい研究心、真実を愛する精神、克己、根気を基礎に自分を発展させることがわかる。
「プラーグの栗並木の下で」を見ているうちに私の心をうったのは、そんな名優とか大俳優とか一生云われることのない俳優たちが、どんなに熱心に科白を云い、扮装をし、舞台に一つの創造の世界を実現させて行こうと努力しているか、ということの感動であった。更に、その感動に加えて、それらの俳優たちが、かつらをかぶりAという人物…
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