作品名:
私本太平記
作者:
吉川 英治書き出し:
直義は残って、なお重臣たちと、今後の方針をかためあった。
御逃亡の君については、
詮議はもちろん、尊氏の意を
服膺して、むしろ予想しうる二次、三次のそなえに心をくばるべきであるとし、ほどなくみな、退出した。
そのあと。
直義は、広間から兄のいる一
殿へ渡って行った。――なにかよい話があるといわれたが、どんな話が自分を待つのか。――彼もいまは、いつものおちつきにもどっていた。
彼を見ると、尊氏は、
「すぐ、正月だなあ」
と、言った。
話は、そんなこと…
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