作品名:
銭形平次捕物控
作者:
野村 胡堂書き出し:
「親分、松が取れたばかりのところへ、こんな話を持込んじゃ気の毒だが、玉屋にとっては、この上もない大難、――聴いてやっちゃ下さるまいか」
町人ながら諸大名の御用達を勤め、
苗字帯刀まで許されている玉屋金兵衛は、五十がらみの分別顔を心持
翳らせてこう切出しました。
「御用聞には盆も正月もありゃしません。その大難というは一体何で?」
銭形の平次は膝を進めます。往来にはまだ
追羽子の音も、
凧の唸りも聞える正月十三日、よく晴れた日の朝のうちのことです。
「
外じゃない、さ…
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