トップページ > 青空文庫占い:結果

青空文庫占い:結果

古来、人々は悩みがあると、四つ辻に立ち、聞こえてくる言葉で物事を占いました。これを『辻占』と言います。

青空文庫占い

作品名:

緑の星

作者:

岸田 国士

書き出し:

 ヨーロッパ通ひの船が印度洋をすぎて、例の紅海にさしかかると、そこではもう、太古以来の沙漠の風が吹き、日が沈む頃には、駱駝の背越しに、モーヴ色の空がはてしなくつづくのが見える。
 その時、海の旅にあきた誰れかれの眼に、きまつてあやしく映るのは、地平線のうへに、次ぎから次ぎへと湧きでる、あの星ともいへぬ星、ひとつひとつが胸飾りのやうに鮮明な、エメラルドの星のまたたきである。

 深草乃里は、二十何年か前の秋の航海で、その星の輝きがひとしほ眼の底に残つた、ある一夜の出来事を想ひ出してゐる。
 どうして急にそんな記憶がよみがへつたか、もちろん、今日までそのことを、片時も忘れたことはないのだが、この日に限つて、彼女は、あの甲板の上で仰ぎみた真夜中の星の色を、まざまざと眼にうかべ、もう、六十に手のとどく皺だらけの頬に、われしらずぽつと血ののぼるのを感じた。
 深草乃里は、現在、ある高原避暑地のホテルで、女中頭をつとめてゐる。若い頃から欧洲航路の客船で船室係をしてゐた経験が、船をおりてからもかういふ仕事をえらばせたのである。ずんぐりと肥つたからだに、丈長の黄色い毛糸…

図書カードURL:

https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/card43850.html

処理時間:0.25680208206176757812秒

データ取得試行回数:1回 ブロック判定︰0回 ルビ判定︰0回

戻る



Sitemap

RSS

お問合せ

ページの先頭へ

ページの先頭へ