作品名:
銭形平次捕物控
作者:
野村 胡堂書き出し:
「八、厄介なことになつたぜ」
錢形の平次は八丁堀の組屋敷から歸つて來ると、鼻の下を長くして待つてゐる八五郎に、いきなりこんなことを言ふのです。
「何にかお小言ですかえ、親分」
「それならいゝが、笹野の旦那が折入つての頼みといふのは、――近頃御府内を荒し廻る辻斬を
捉へるか、せめて正體を突き留めろといふのだ」
「へツ、へエ――」
ガラツ八の八五郎さすがに
膽を潰したものか、
固唾が喉に引つ掛つて、二度に感嘆しました。
「笹野の旦那はかう仰しやるのだよ――この夏あたりから噂は聽いてゐたが、三日に一人、五日に二人罪のない人間がお膝元の江戸で、人參
牛蒡のやうに斬られるのは捨て置き難い。い…
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