作品名:
貴婦人
作者:
泉 鏡花書き出し:
一
番茶を焙じるらしい、いゝ香気が、真夜中とも思ふ頃芬としたので、うと/\としたやうだつた沢は、はつきりと目が覚めた。
随分遙々の旅だつたけれども、時計と云ふものを持たないので、何時頃か、其は分らぬ。尤も村里を遠く離れた峠の宿で、鐘の声など聞えやうが無い。こつ/\と石を載せた、板葺屋根も、松高き裏の峰も、今は、渓河の流れの音も寂として、何も聞えず、時々颯と音を立てて、枕に響くのは…
図書カードURL:
https://www.aozora.gr.jp/cards/000050/card48397.html
処理時間:0.19963788986206054688秒
データ取得試行回数:1回 ブロック判定︰0回 ルビ判定︰0回