作品名:
桑の木物語
作者:
山本 周五郎書き出し:
その藩に伝わっている「
杏花亭筆記」という書物には、土井悠二郎についてあらまし次のように記している。
「土井右衛門、名は悠二郎。忠左衛門茂治の二男に生れ、わけがあって七歳まで町家に育った。八歳の春から幼君のお相手として御殿へあがり、ずっとお側去らずに仕えたが、二十一のとき致仕した。
生れつき奔放にして
無埒、つねに奇矯のおこないが多く、
宗眼日録には、勤めかたよろしからず、ということがしばしば挙げてある。致仕してのちは市中にかくれ、親族や旧知とも断って無為に一生を終ったという。
また上屋敷の庭の奥に、いま大木になった桑の林があるのは、泰春院さまが少年のころ、彼のすすめによって植えられたと伝えられるが、このような進言をするところなども、彼の無埒な性分のあらわれであろう。―…
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