作品名:
手品
作者:
佐左木 俊郎書き出し:
口上
雪深い東北の山襞の中の村落にも、正月は福寿草のように、何かしら明るい影を持って終始する。貧しい生活ながら、季節の行事としての、古風な慣習を伝えて、そこに僅かに明るい光の射すのを待ち望んでいるのである。併し、これらの古風な伝習も、そんなにもう長くは続かないであろう。
それらの古風な慣習の一つに「チャセゴ」というのがある。正月の十五日の晩には、吹雪でない限り子供は子供達で、また大人は大人達で、チャセゴに廻る。子供達は、宵のうちから、一団の群雀のように、部落内の軒から軒を(アキの方からチャセゴに参った。)と怒鳴って廻るのだが、すると、家の中から(何を持って参った?)と聞き返すのである。子供達はそこで(銭と金とザクザクと持って参った。)と一斉に呼び返す。そこで、二切ればかりずつの餅が、子供達各自の手に恵まれるのである。
大人…
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