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自刻の木版画が一般の人に段々重く見られて来た。然し未だ沢山出来ると云ふ事と価値との関係が絶えてない、又自刻の木版をやる人が沢山出来て来た。然し今迄で自分の見た内で極少数の人の外は多くは、趣味の人の画であつた、寧ろ皆と云ひたい。
木版及び刀が持つて居る特殊な味ひ、如何にもしつくり心地のいゝ印刷、習慣、商業人にない特殊な技工、之等から可成自由に、自分の趣味を発揮した人もあつた。
然し多くは素人として、刀の無器用な、使方不十分が反つて自然なプリミティブの感じを表はすので自刻して居る人もある。
要するに皆趣味の人である。そして多くの人の物は、凡そ、画を少し描く器用な人には少し技工の練習をすれば誰れにでも出来得る物である。少数の前者はそれに依つて自分を慰め楽しんで行ける趣味の人である。
木版の持つ気分は自分も非常に好きである。然し画を自分には趣味の物ではない、趣味の人ではない。自分の画は自分にとつて絶対の価値である。
全然自分である。少しも他人を交へぬ自分の全人格である。一杯に自分を表すならば版画は必然自刻せねばならない。此の立場から他人に彫らせると云ふ事は如何な場合でも無意味である。自分の画に他人にない自分の生んだリズムがある、筆触がある、如何にいゝ彫刻師でも、如何程巧で忠実に彫つても自分とは縁の遠い物である。
自分以外に自分の画を自分程知つて居る者はない。其画に…
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