作品名:
頸飾り
作者:
辻 潤書き出し:
その女というのは男好きのしそうなちょっと見奇麗な娘であった。このような娘は折々運命の間違いであまりかんばしくない家庭に生まれてくるものである。無論、持参金というようなものもなく、希望など兎の毛でついた程もなかった。まして金のある上流の紳士から眼をつけられて愛せられ、求婚されるというようなことは夢にもありはしない。とかくして、彼女はある官庁の小役人の処に嫁くこととなった。
華美に衣飾ることなど出来ようはずがない。で彼女は仕方なく質素な服装をしていた。けれど心中は常時も不愉快で、自分がまさに行くべき位置…
図書カードURL:
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